厚生年金事業振興団 東京厚生年金病院
電子カルテシステム運用に新たな安心を付加する、D2D2T(Disk to Disk to Tape)の統合バックアップ環境を、System Center Data Protection Manager 2007で構築
地域の中核病院として常に先進の医療に取り組み、技術だけではなく患者の心に寄り添う医療を実践している財団法人 厚生年金事業振興団 東京厚生年金病院。同院では、2009年8月に電子カルテシステムとオーダーリングシステムを導入したことと併せて、重要な電子カルテデータを守るためのバックアップシステムを一新。従来の「サーバーごとにテープ装置を接続してバックアップを取得」という手法から、「システム全体のバックアップデータを、D2D(Disk to Disk)で一元的に取得し、さらに1週間ごとにテープに保存する」という、効率的な運用を開始しています。 このバックアップ体制の変更により、同院ではコストと手間の削減を実現し、さらに1日のバックアップ回数も増やすなど、安全策を向上させています。

- Microsoft® System Center Data Protection Manager 2007

- システムのバックアップを一元化
- 万一のトラブルでも、迅速なリストアが可能
- テープ調達にかかる費用を削減
- 操作の簡略化

「電子カルテの安全対策に関しては、コストだけで考えることはできません。とにかく万全の策を講じることが第一です。そのため、ソフトウェア・サービスさんの判断にお任せしている部分があります。
安全で、なおかつ、私たちユーザーが何も意識しなくてもちゃんと運用されているというのが一番ではないですか。手間もコストも抑えて、万全のバックアップ体制をとる。それができれば理想的です」
財団法人 厚生年金事業振興団 東京厚生年金病院
医療情報部
小原 健志 氏
財団法人 厚生年金事業振興団 東京厚生年金病院は、21の診療科を持ち、ほぼ全領域の疾患に対応可能な体制として520床を有する総合病院です。特に東京都認定がん診療病院として、大腸がん、乳がん、肺がん、胃がん、肝がん、前立腺がん等の患者の方々に対して、手術療法、化学療法そして放射線療法など最新で、高水準の医療を提供しています。また整形外科では、人工股関節手術や膝・肘・肩関節疾患に対する内視鏡手術において、国内有数の実績を誇っています。CCUネットワークにも加盟し、急性心筋梗塞、急性心不全の患者の方々に24時間体制で対応しています。
統一されたシステム環境で、コスト効率の高い運用を実施

財団法人 厚生年金事業振興団
東京厚生年金病院
医療情報部
小原 健志 氏
財団法人 厚生年金事業振興団 東京厚生年金病院(以下、東京厚生年金病院)は、東京都認定がん診療病院の指定を受けるほか、急性心筋梗塞を中心とする急性心血管疾患に対し、迅速な救急搬送と専門施設への患者収容を目的に組織された「東京CCUネットワーク」に加盟するなど、地域の中核病院として常に先進の医療に取り組んでいます。
また、同院の特色としてがん患者の疼痛緩和、終末期医療のための「緩和ケア病棟」や、脳卒中や人口股関節手術後などの患者の早期回復を目指した「回復期リハビリ病棟」、そして「夜間スポーツ外来」の受付などを中心に、技術だけではなく患者との触れ合いを重視していること。さらに、日本で初めての「転倒予防教室」の開設や、「高血圧教室」「禁煙教室」などを開催し、保健福祉活動にも積極的に取り組んでいることが挙げられます。
この東京厚生年金病院を支える電子カルテシステムおよびオーダーリングシステムが導入されたのは、2009年8月のこと。「もちろん、システムにかかるコストと安全性については厳しく見ている」と東京厚生年金病院 医療情報部 小原健志氏は説明します。
「私たちの本懐は、患者の皆様に、可能な限り手厚い医療を提供することにあります。ですから、ITシステムが必要不可欠です。しかし、一方でコストについてはシビアに見ています。そしてもちろん、システムには安定性と安全性が重要です。
そこで当院では、株式会社ソフトウェア・サービス (以下、ソフトウェア・サービス) と、アルファテック・ソリューションズ株式会社(以下、アルファテック・ソリューションズ)の両社の協力体制による安定性と安全性を重視した電子カルテシステムなどを導入しています」
同院が導入しているこのシステムの長所は、部門システムを個別に導入する必要がなく、院内の大部分をカバーできる能力にあると小原氏は続けます。 「以前は、別メーカーの診療支援システムを導入していましたが、そのときは『餅は餅屋』ということで、部門システムは個別に導入するほかありませんでした。しかし、今のシステムの場合、部門システムまで一通り揃っています。以前はシステムによって開発言語もバラバラで、一般には馴染みのない言語もありました。そうした環境よりは、今回のようにWindows®ベースなら Windowsベースで統一されていた方が、いろいろな意味でスッキリします。コストにしても、OSのライセンスだ、データベースのライセンスだ、と分かれているだけ、高くついてしまっていたと思います。部門によってはユーザーの要望などもあり、専門のシステムを導入していますが、実際、トータルのコストは下がっていますから」
そして、2009年8月のシステム更改において、電子カルテ システムの安全対策の1つとして欠かせないデータバックアップを、よりスムーズ、かつ確実に行うために採用されたのが、Microsoft System Center Data Protection Manager 2007でした。
高い信頼性を誇る高速バックアップ環境の構築

株式会社ソフトウェア・サービス
医療インフラグループ
グループ長
宮原 弘巳 氏
電子カルテシステムのデータ保全は、欠くことのできない必要要件です。東京厚生年金病院でも、3重のバックアップ対策を施してきました。データの保管は、テープで行っています。
しかし、テープ装置を利用していた従来の環境ではバックアップに少々時間がかかりすぎていたと、小原氏は振り返ります。
「データが増えれば、バックアップにも時間がかかるようになります。以前、見学させていただいた病院では、夜間などの空き時間に行っていた作業が診療時間にまで及んでしまい、電子カルテシステムのレスポンスに影響したことがあったと聞きました。そうしたことも踏まえて当院では、レスポンスに影響しないバックアップ方式で1日複数回バックアップを取ることを条件にシステム構築を依頼しました」
本来バックアップは1日に複数回取得した方がより安全であるが、従来の方式であれば現実的に困難だったとバックアップ設計支援を担当したアルファテック・ソリューションズ 大阪支店 技術部 技術グループ 第1チームの木崎聖直氏は言います。
そこでソフトウェア・サービス 医療インフラグループ グループ長 宮原弘巳氏と共に東京厚生年金病院へ提案したのが、System Center Data Protection Manager 2007でした。提案の理由を、宮原氏は次のように説明します。
「まず、弊社のシステムに対して親和性が高かったということが1つ。そして、この2007から、データベースのバックアップやテープへのバックアップが標準で行えるようになったことが挙げられます。電子カルテシステムのバックアップという重要な役割を担う製品ですから、信頼性についての検証も十分に行った結果、導入を決定しました」
宮原氏は、さらに説明を続けます。
「今回のシステム構築では、Data Protection Managerを導入したバックアップ専用サーバーを使って、各サーバーからのバックアップ作業を一元化しています。ハードディスク内のデータは1週間ごとに、HP StorageWorks 1/8 G2 テープオートローダを活用して、持ち運びが容易であるテープメディアにコピーして保管しています。こうした運用は Data Protection Manager の機能を利用して自動的に行われています。
さらにどのテープに何が入っているか――ということを気にせずとも、Data Protection Manager のデータベースからハードディスクまたはテープ内にあるデータを閲覧し、いざというときに必要なデータを手軽に探し出せるようになっています」 
万一のトラブルにも迅速に対応できる安心感
現在、東京厚生年金病院では、1日に2回のバックアップを行っています。夜間に1回、そして2回目は正午に、差分データのみを収集していますが、「正午にはまだ外来診療が行われているのですが、システムの負荷も少なく、そんなことをしていることがわからないくらい、システムのレスポンスが落ちない」と小原氏は言います。
さらに、Data Protection Manager採用のメリットについて、アルファテック・ソリューションズ 大阪支店 営業部 医療ビジネスグループ 大賀聡氏は、次のように説明します。
「まず、バックアップ テープのコストの問題があります。サーバーが5台なら、2週間分で、5×14=70本のテープが必要になります。それだけのコストが必要になるだけではなく、いざトラブルが発生し、リストアが必要になった場合、70本のテープの中から、すぐに必要なデータが探せるかどうか。 統合バックアップ環境で一元的にデータを管理していると、そういう問題から解放されることが、大きなメリットになります」
宮原氏も「ほかの病院で実際にリストアする機会がありましたが、インターフェイスもわかりやすいですし、そもそもテープに比べてリード/ライトが格段に早いですから。本当にスムーズに完了できました」と、声を揃えます。
木崎氏は、もう 1 つの利点として「システムの可用性向上」を挙げています。
「一般にテープ装置は機械的に駆動する部分が多く、メンテナンスの必要性が高い装置です。しかも、多くのテープ装置は、システム(OS)を停止した状態でメンテナンスを行う仕様になっていることから、テープ装置のメンテナンスがシステムの可用性を低下させる原因にもなっていました。今回の構成では、システムが稼働するサーバーとバックアップを取得するサーバーが完全に切り離されているため、Data Protection Managerが稼働するサーバーのメンテナンスが、システムの稼働に影響を与えることがありません」
また、大賀氏は一般的なバックアップ ソフトウェアと比較して「操作性がよい」と、評価しています。
「他のバックアップ ソフトウェアと比べて、Data Protection Manager は必要な機能を絞り込んでいるため、バックアップ状況の確認やリストア操作もシンプルで使いやすいです」
病院間連携で、相互にデータ保全が図れれば理想的
「電子カルテのデータの保全に関しては、たとえコストの問題を横に置いてでも、万全を期す必要があります」と前置きし、小原氏は、今後の希望として「同系列の病院とデータを持ち合い、遠隔地にもバックアップを残すことができればうれしい」と話します。
「一般の企業でも自然災害などを想定して、遠隔地にあるデータセンターと契約しているケースがよくありますね。しかし、それにはコストがかかります。
遠隔地にデータを保存できればいいのであれば、他県にある厚生年金病院が同じシステムを利用していれば 、そことデータを持ち合い、相互にバックアップを取るということも考えられるでしょう。現に、島根県にある玉造厚生年金病院では、私たちと同じソフトウェア・サービスの電子カルテを導入していますから、可能性としては十分ありますよね。そんなことができたら、わざわざ外部のデータセンターを契約する必要もなくなりますし、非常に便利になります」
本事例は、マイクロソフト株式会社と共同制作しました。

