【連載】 徹底解説!令和2年度 診療報酬改定 | 第2回:基本方針

ヘルスケア

 

こんにちは、華です。

前回ご説明したように、診療報酬改定は、社会保障審議会で取りまとめた「基本方針」に基づき、メニューの改定が行われます。この基本方針は、改定の方向性を定めたものであり、それを理解することは大変重要です。基本方針が理解できれば、改定の全体像がわかるようになります。

今回は基本方針を頑張って確認していきましょう!

 

 

 

基本認識

基本方針では、令和2年度(2020年度)の診療報酬改定がどのような時代背景、すなわち我が国が直面している課題に基づき行われるかを「改定にあたっての基本認識」として、まとめています。

改定にあたっての基本認識は、以下の4項目です。

(1)健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現

(2)患者・国民に身近な医療の実現

(3)どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進

(4)社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和

 

我が国は、すでに世界最高水準の平均寿命(人生100年時代)を達成しており、今後は2025年にいわゆる団塊の世代が全て後期高齢者に、2040年頃にはいわゆる団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となり、高齢者人口がピークを迎えるとともに、現役世代(生産年齢人口)が急激に減少していきます。
そのような「超高齢社会」を迎える我が国では、若い世代が高齢者を支えるだけでは制度運用を維持継続することが難しくなってきており、高齢者や女性も活躍できる社会を実現することで「全世代型社会保障」を構築することが必要だとしています。



基本的視点と具体的方向性

2020年度改定は、前回の2018年の医療介護の同時改定(6年に1度)を踏まえた改定と位置付けられています。

改定の柱となる4項目は以下の通りです。

1.医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進

2.患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現

3.医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進

4.効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

我が国が直面している超高齢社会、生産人口減少社会(人手不足)を踏まえて、政府が積極的に進めている「働き方改革」や、「機能分化と連携」「効率化・適正化」といった、医療機関の効率性を高める取り組みを評価した改定であることが分かります。



1.医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進

高齢化のピークである2040年に向けては、地域医療構想の実現や医師偏在対策、医師・医療従事者の働き方改革を推進し、総合的な医療提供体制の改革を実施していくことが求められるとしています。特に2024年4月からは、医師に対する時間外労働の上限規制が適用される予定であり、それに向けて労働時間短縮の計画的な取り組みが必要となります。
これまでも診療報酬では、タスク・シェアリング/タスク・シフティングやチーム医療の推進、医療機関における勤務環境改善に資する取り組みを評価してきており、今改定でも「医師等の長時間労働などの厳しい勤務環境を改善する取組の評価」「地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の評価」「業務の効率化に資するICTの利活用の推進」が具体的項目として挙がっています。



2.患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現

患者にとって最も身近な医療機関として、かかりつけ医(診療所)、かかりつけ歯科医(歯科診療所)、かかりつけ薬局(調剤薬局)を位置付け、それらの医療機関に対して、医療技術の進展や疾病構造の変化等を踏まえながら、第三者による評価やアウトカム評価など客観的な評価を進め、新たなニーズに対応できる医療の実現を求めるとしています。
具体的には、「かかりつけ医機能の評価」や「患者にとって必要な情報提供、相談支援等の評価」「アウトカムにも着目した評価の推進」「重点分野の適切な評価」「生活の質に配慮した歯科医療の推進」「薬局の対物業務から対人業務への構造的な転換」「医療におけるICTの利活用」などが項目として挙がっています。



3.医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進

急性期から回復期、慢性期にいたるまで、患者の状態に応じて質の高い医療が適切に受けられるよう、切れ目のない医療提供体制が確保されることが重要とされ、そのためには、医療機能の分化・強化、連携を進め、在宅復帰等につながるよう、質の高い在宅医療・訪問看護の確保や、他の医療機関等との連携、介護サービスとの連携・協働等が必要であるとしています。
具体的には、「医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価」「外来医療の機能分化」「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」「地域包括ケアシステムの推進のための取組」などが項目として挙がっています。



4.効率化・適正化を通じて制度の安定性・持続可能性を向上

超高齢社会や医療の技術進歩などにより、医療費が増大していくことが見込まれる中、国民皆保険制度を維持するためには、医療関係者が協働して医療サービスの維持・向上とともに、効率化・適正化を図ることが求められるとしています。
具体的には、「後発医薬品やバイオ後続品の使用促進」「費用対効果評価制度の活用」「市場実勢価格を踏まえた適正な評価等」「医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価」「外来医療の機能分化、重症化予防の取組の推進」「医師・院内薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用の推進」などが項目として挙がっています。



令和2年度 診療報酬改定の基本方針に基づき作成

次回は、2020年度改定における「ICTの評価」について解説します。