JA愛知厚生連 海南病院
ソリューション概要
海南病院のチーム医療「患者参加型医療」を支える医療支援ピクトグラムシステム
海南病院が、アルファテック・ソリューションズの「医療支援ピクトグラムシステム」を採用し、病室とナースステーション、診療に携わる多くの医療スタッフをつなぐ情報共有を進めている。電子カルテシステムと連携した看護業務のサポート、患者への効果的な情報提供で、すでに大きな効果を達成。さらに、患者自身による操作や入力を容易にすることで、海南病院が取り組む「患者参加型医療」を推進するためのインフラとしての役割も担いつつある。
お客様課題
・ 質の高い、安心・安全なチーム医療を支える、医療スタッフのための情報共有
・ 患者自身が主体性をもって病気や治療への知識を高める「患者参加型医療」の推進
ソリューション
・ 「医療支援ピクトグラムシステム」を10病棟・485床に導入
・ 電子カルテシステムの最新情報を医療スタッフが病室で参照可能に
・ 検査やリハビリ等、入院中のスケジュールや食事制限など、患者への情報提供をスムーズに
・ 病室での注意喚起の張り紙やお知らせなどの掲示を削減し、業務効率化を推進
導入効果
・ 全病床への正確かつ迅速な情報提供・共有を実現、情報の一斉配信も可能
・ 患者自身が食事量や排泄回数の情報を入力するなど医療への参加に寄与
・ 病院独自のケアの工夫やノウハウをピクトグラムシステムに反映・継承
プロファイル
JA愛知厚生連 海南病院
病院長 山本直人
愛知県弥富市前ケ須町南本田396番地
540床(一般病床534床、感染病床6床)全31科
DPC病院Ⅱ群
海部医療圏・三重県北勢地域の一部をカバーする基幹病院として、急性期の高度医療機能を充実させている。2016年12月に、「コンパクト・高機能・次世代型」のコンセプトを掲げた新病院を竣工させた。
http://www.kainan.jaaikosei.or.jp
より高度化する医療ニーズに応えるために
JA 愛知厚生連 海南病院は、海部医療圏・三重県の北勢地域の一部をカバーする基幹病院である。全31科・540床(一般病床534床、感染病床6床)を擁し、大学病院本院に準ずる診療機能を持つDPCⅡ群病院として認定されている。副看護部長を務める伊藤恵美氏は次のように話す。
「急性期の高度医療機能の提供をはじめ、地域医療を守る基幹病院としての期待と責任を日々感じています。私たちが、より質の高い、安全・安心な医療を提供するためには、医療チーム全体での情報共有が不可欠です。電子カルテは情報共有を大きく改善させましたが、医療スタッフが患者さんに接する病室では、現場に即した情報共有のための仕組みが求められていました」
医師・看護職員・検査技師・薬剤師・リハビリセラピスト・医療事務・複数の医療スタッフがスムーズに連携するには、患者ごとの注意喚起や、診療スケジュールなどを正確に共有しなければならない。従来これらの情報は電子カルテ上で管理され、専用端末でしか参照できなかった。病床に用意されている床頭台や壁には、情報共有・伝達のためのメモ用紙が何枚も貼られることがあったという。
「病室では看護師たちの知恵と工夫で情報を共有してきました。しかし、メモの内容が古くなっていたり、貼る場所がばらばらであったり、様々な課題がありました。この状況を大きく変えてくれたのが、2016年7月から利用を開始した『医療支援ピクトグラムシステム』です。すべての医療スタッフが、病室にいながら必要な情報を瞬時に参照できるようになったのです」(伊藤氏)
-
-
-
JA愛知厚生連 海南病院
副看護部長
伊藤恵美氏
-
-
-
-
JA愛知厚生連 海南病院
副看護部長
飯田月美氏
-
医療支援ピクトグラムシステム
アルファテック・ソリューションズが提供する「医療支援ピクトグラムシステム」は、全国の医療機関で豊富な導入実績がある。ピクトグラム(絵文字)を採用した直感的な画面デザイン、タブレット端末ならではのタッチ操作により、医療スタッフだけでなく患者自身でも情報の参照や入力が容易なことが特長だ。副看護部長の飯田月美氏は次のように話す。
「医療スタッフは、電子カルテシステムから共有された患者さんごとの情報を、病室の医療支援ピクトグラムシステムで患者さんと対話しながら参照することができます。食事量や排便回数など患者さんの状態や食事制限があるか、歩行に補助が必要かなど、特に注意が必要な事項も解りやすいサインで一目瞭然です」
医療支援ピクトグラムシステムが実現した正確かつ迅速な情報共有は、患者への適切なケアはもちろん、チーム医療プロセスの効率化にも寄与している。
「従来は、患者さんの情報は担当看護師に集約されがちでした。仕事を引き継ぐ医療スタッフは、その看護師に聞かなければわからないことも多かったのです。医療支援ピクトグラムシステムを利用することで、すべての医療スタッフが同じ情報を参照しながら、業務を進めることができるようになりました」(飯田氏)
医療支援ピクトグラムシステムのタブレット端末は床頭台の側面に設置され、ベッドに横たわった患者にも操作しやすいよう配慮されている。
「注意喚起のピクトグラム表示は、患者さん自身に気をつけていただくためにも効果的です。検査やリハビリなど1日のスケジュールもタッチ操作で即座に確認できますので、ご家族の方を含めて高い利便性を提供できていると思います」(伊藤氏)
医療支援ピクトグラムシステムは、次のようなメリットをもたらした。
医療スタッフに »
◎患者の状態が把握でき、適切なケアにつなげることができた
◎電子カルテとの連携により正確な情報を瞬時に病室で入手可能に
◎ナースステーションに戻り確認する手間や、メモの作成や貼り付ける手間が減り、また環境の改善にもつながった
◎情報の共有化が図られチーム医療が強化された
患者と家族に »
◎手術や検査・リハビリなどのスケジュールが参照でき、入院生活での不安低減につながった
◎食事量・排泄回数などを患者自身で入力するという患者参画による情報共有を図ることで、自分の変化に気づくきっかけになった
ピクトグラムシステムの導入は、2015年夏からおよそ1年をかけて慎重に進められた。課題の整理と業務の見直しを行いながら、ピクトグラムサインの検討、電子カルテシステムとの連携、コンテンツの整備などが着実に行われていった。
「看護師の教育に時間を要したり、運用が混乱するのではないかという不安が少しありましたが、実際に導入されてみると、若い看護師はあっさりと使いこなしてくれました」と伊藤氏は振り返る。
直感的な扱いやすさが考慮された画面デザインと、タブレット端末ならではの使い勝手が早くも威力を発揮した形だ。導入後は、病院全体での運用を均質化するために、新人教育や病棟単位での教育が行われている。
-
-
-
アルファテック・ソリューションズ株式会社
アカウントサービス事業部
ヘルスケアサービス部
サービスグループ 第4チーム
秦政彦氏
-
-
-
-
アルファテック・ソリューションズ株式会社
アカウントサービス事業部
ヘルスケアサービス部
営業第2グループ
小野敦司氏
-
「今後、医療支援ピクトグラムシステムを活用し、病室で入力した情報を電子カルテシステムへ反映させる機能について、運用面を考慮しながら実装に取り組んでいきたいと思います」秦氏
弊社のコアビジネスである、サーバー保守・セキュリティ対策、業務サービスで培ったノウハウを生かして、安心・安全に運用し続けていきます。今後も、ピクトグラムシステムの先進的な活用をご支援していきたいと思っています。」小野氏
「患者参加型医療」を積極的に推進
医療支援ピクトグラムシステムの端末画面が直感的でわかりやすいこと、病床で横たわっていても患者自身が容易に扱えることが、海南病院の推進する「患者参加型医療」に成果をもたらしつつある。
「食事量、排泄回数を患者さんに入力してもらう試みを進めています。従来は看護師が聞いてチェック表に記録していましたが、患者さんに入力してもらうことで自身の病気や治療への意識を高めていただくことを勧めています」と飯田氏は話す。
患者が主体性を持って医療に参加することで、医師や看護師とより深く、より良好なパートナーシップが構築できる。一歩踏み込んだ質問や相談が交わされるようになれば、より質の高い医療の提供につながるというのが、海南病院が推進する「患者参加型医療」の基本的な考え方だ。
ピクトグラムシステム導入の成果を継続的に追求
医療支援ピクトグラムシステムは、医療情報の共有・伝達に大きな威力を発揮した。病室での患者ごとのケアも、より的確に行えるようになったという。今後は、患者参加型の医療を支えるインフラとしての役割を高めていくことになるだろう。
「2016年7月からピクトグラムシステムの利用を開始し、すでに患者さんの転倒・転落の予防など一定の成果をあげています。学会での成果発表を見据えて、定量的な指標を確立しながらより高い成果を追求していく考えです」と伊藤氏は決意を示す。
「アルファテック・ソリューションズには、私たちの要望を数多くシステムに採り入れてもらえました。中でも、患者さんによる入力機能と、入力しやすくするための工夫は海南病院独自のものです。継続的な改善に向けたレポートや提案を含め、今後も力強いご支援を期待しています」と飯田氏は結んだ。
海南病院の「患者参加型医療」への取り組みと、それを支える医療支援ピクトグラムシステムの導入は、医療情報の電子化と療養環境のあり方に重要な示唆を与えるに違いない。