医療法人 愛仁会様 導入事例

将来的なシステム運用のフルアウトソーシングを目指し、仮想化基盤で部門システムをデータセンターに統合
仮想化基盤を構築し4病院・約80台の物理サーバーを15台に集約

社会医療法人 愛仁会が、中核病院である千船病院(292床)と高槻病院(477床)が運用する部門システムを大胆に統合した。仮想化共通基盤を新たに構築し、部門システムの大半をデータセンターに集約。およそ80台の物理サーバーを15台に削減するとともに、運用・保守をアウトソーシングし、増え続けていた運用負荷を劇的に低減させた。本プロジェクトをトータルに支援したのは、キヤノンライフケアソリューションズとアルファテック・ソリューションズである。

社会医療法人 愛仁会

大阪市北区豊崎3丁目2番1号

急性期病院、リハビリ専門病院、診療所、介護老人保健施設、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、ケアプランセンター、ヘルパーステーション、検査センター、看護助産専門学校を運営。

http://www.aijinkai.or.jp

お客様の課題
  • 病院内のサーバー機器の増加に抜本的な歯止めをかけること
  • システム運用にかかる病院側の負荷を大幅に低減すること
ソリューション
  • 仮想化共通基盤をデータセンターおよび高槻病院、千船病院の3拠点に構築
  • 4病院35部門システム・物理サーバーおよそ80台を仮想化基盤に統合
導入成果
  • ハードウェアの運用保守ベンダーを一本化
  • 安定的なサービス提供、迅速な問題解決を可能にする運用保守フローを構築

 

  • サーバー台数を1/6以下に削減し、病院側の運用負荷を劇的に低減
  • 将来のフルクラウド化を見据えた仮想化共通基盤の運用保守のアウトソーシングを実現
  • 愛仁会グループ内の連携強化に寄与し、包括的ヘルスケアシステムの実現を推進

地域のトータルヘルスケアに注力

社会医療法人 愛仁会は、1958年の創立以来、一貫して地域の医療、介護、福祉、保健のトータルヘルスケアをめざす法人。千船病院(大阪府大阪市)、高槻病院(大阪府高槻市)などの3施設の急性期病院と、愛仁会リハビリテーション病院(大阪府高槻市)のリハビリ専門病院を中心に、グループ内の介護老人保健施設、訪問看護ステーション、在宅介護支援センター、ケアプランセンター、ヘルパーステーション、看護助産専門学校などと互いに連携をとりながら、大阪・兵庫の両府県で急性期から回復期・慢性期・療養期、さらには在宅へとスムーズに繋がる地域包括ケアシステムの実現に向けた取り組みを精力的に進めている。愛仁会本部 医療情報部 部長代理の井内伸一氏は、愛仁会グループについて次のように説明する。

「誕生から、小児・成人診療、高齢者介護に至るまで、ライフステージのすべてにおいて、地域包括的にトータルヘルスケアを提供できるのが私たちの強みです。これを強化するため、グループ内外の医療機関を含めた連携を実現すべく努力を重ねています。高齢化が進む地域社会で安心して暮らしていただけるよう、社会医療法人としての責務を果たしていきたいと考えています」

愛仁会本部 医療情報部はグループ全体を統括する役割を果たしており、各病院や施設のシステム環境の設計や構築・運用は重要なミッションのひとつとなっている。同部 課長の田中信吾氏は次のように話す。

「2011年に本部内に『医療情報部』を発足させ、グループ施設のシステムの統括管理に着手しました。2015年に各施設のシステム担当者を本部の医療情報部へ所属させる体制に変更し、グループ全体のITガバナンスをさらに強化しています」

システム運用のフルアウトソーシングを指向

愛仁会では病院や施設単位でシステムの構築・運用を行ってきた時期が長かったが、システム担当者不足という課題が深刻化しつつあった。

「サーバーやシステム、端末など、膨大な管理対象に対して、システム担当者が絶対的に少なかったのです。日々のメンテナンスやヘルプデスク業務に忙殺され、突発的なトラブルに迅速に対応できない、戦略的な動きができない状況を何とか打開したいと考えていました」(井内氏)

2011年の医療情報部の発足直後、井内氏らは、少ない人数でシステムを運用管理するために「仮想化によるシステム統合」の検討に着手した。当時、仮想化統合はまだ医療機関への採用例は少なかったという。

「仮想化によるシステム統合は、大きなチャレンジですが最初の一歩です。最終的なゴールに見据えたのは、システム運用管理をフルアウトソーシングし、電気やガス、水道と同じようにシステムを使える環境でした」(井内氏)

井内氏らの構想はやがて具現化する。愛仁会では2016年から2017年にかけ、基幹病院である高槻病院と千船病院の建て替え・移転を機に電子カルテシステムの更新を計画した。そのタイミングに合わせ、高槻病院、千船病院、愛仁会リハビリテーション病院、しんあい病院の部門システムの仮想化統合を決断したのだ。35に及ぶ部門システム、およそ80台のサーバーを集約する一大プロジェクトである。
社会医療法人 愛仁会 本部
医療情報部
部長代理
井内 伸一 氏
社会医療法人 愛仁会 本部
医療情報部
課長
田中 信吾 氏

移設するシステムと残すシステムを精査

本プロジェクトを全面的に支援したのが、キヤノンライフケアソリューションズとアルファテック・ソリューションズのチームだった。キヤノンライフケアソリューションズ 医療ソリューション営業本部 部長の池享造氏は次のように振り返る。

「2012年頃、最初に話をお聞きしたときは大胆な発想に驚きましたが、同時に、本部としてグループ全体でシステムを最適化するには最善の方法だと確信しました」

愛仁会本部は、2016年前半に示された基本方針に沿って10月にプロジェクトを立ち上げた。設計・構築に着手したのは2017年2月である。同社の神原尚男氏は、「当初は、すべてのシステムをデータセンターの仮想化基盤に統合する方針でした。私たちは既存環境を一つひとつ検証し、データセンターに移設可能なシステム、病院内に残すべきシステムを慎重に精査していきました」と話す。 「ミッションクリティカル性が高く停止や遅延が許されないシステムや、ネットワーク負荷の高い画像・動画系のシステムは、病院内に構築した仮想化環境に統合することに決めました。コストの適正化を含め、合理的な選択ができたと考えています」と井内氏はキヤノンライフケアソリューションズの提案を評価する。

こうした要件を受けて仮想化基盤の設計・技術評価・製品選定を行ったのが、アルファテック・ソリューションズである。同社 ヘルスケア事業部の山村将人氏は次のように話す。

「仮想化基盤には要件の異なる多様なシステムを統合しますので、高い可用性を確保しつつコストとのバランスを最適化することが重要になります。私たちは適材適所の機器選定を進め、特にストレージ選定には慎重を期しました」

また、同社の藤本有理氏は「アプリケーションベンダーへのヒアリングを通じて必要なリソースを算出し、仮想化基盤の設計に落とし込んでいきました。実装段階では、アプリケーションごとに必要なディスクI/Oに配慮してリソースを割り当てる方法を採っています」と話す。サーバーには、仮想環境構築に数多くの実績を持つ「HPE ProLiant DL380 Gen9」を採用。共有ストレージは、高性能・高信頼の「HPE 3PAR StoreServ Storage」とコストパフォーマンスに優れた「HPE MSA 2040 Storage」を適材適所で使い分ける構成とした。
キヤノンライフケアソリューションズ株式会社
医療ソリューション営業本部
西日本医療ソリューションMA営業部 部長
大阪支店 支店長
池 享造 氏
キヤノンライフケアソリューションズ株式会社
医療ソリューション営業本部
西日本医療ソリューションMA営業部
西日本MA営業課
神原 尚男 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
ヘルスケア事業部
第1部 営業グループ 第1チーム
山村 将人 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
ヘルスケア事業部
第1部 技術グループ
藤本 有理 氏

およそ80台のサーバーを15台に集約

2017年初頭に構築が開始され、5月に千船病院、次いで7月には高槻病院のシステムが稼働を開始。アプリケーションベンダーの作業領域を含め、2017年9月にすべての構築が完了した。井内氏は、本プロジェクトの成果を次のように話す。

「およそ80台のサーバーを、15台へと大幅に削減できたことが最大の成果です。データセンターやネットワークのコストが発生していますが、運用管理に要していた工数を劇的に低減することができましたので、十分な投資対効果が得られます。むしろ、増え続けていたコストを上手に抑制できたと捉えています」

オンプレミスの機器削減を削減し、可用性の向上にも寄与

田中氏も「病院設置の機器も従来の1/3以下に削減できました。また、仮想化によるHA 構成を採用して可用性を向上させるとともに、データセンターを利用することでセキュリティも強化され災害発生時の安全性も高まりました」と話す。愛仁会本部では、今回統合できなかったシステムを含め、段階的にグループすべてのシステムをデータセンターに集約していく構想を描いている。病院間をセキュアなネットワークで接続し、相互アクセスすることも視野に入れているという。グループ内の連携をさらに進め、地域包括的なトータルヘルスケアをさらに強化していく考えだ。

井内氏が次のように語って締めくくった。

「電気やガス、水道のようにIT が使えるようになる--そのゴールに向けた大きな一歩として、仮想化による部門システム統合には満足のいく結果が得られたと考えています。困難なプロジェクトを完遂してくれたキヤノンライフケアソリューションズ、アルファテック・ソリューションズには、今後も力強いご支援を期待しています」
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