トッパンフォームズが、主力事業であるデータ・プリント・サービス(DPS)の一翼を担う「部門ファイルサーバー」のインフラ環境を最新化した。本システムはクレジットカードの利用明細書など個人宛通知物の仕様などを管理するドキュメントを格納している。24時間365日無停止で運用するビジネスクリティカルな環境である。
アルファテック・ソリューションズは、HPE Nimble Storageを中心とする仮想化環境を構築し、インフラ最新化プロジェクトを完遂させた。
概要
お客様課題
・ データ・プリント・サービス(DPS)の一翼を担う「部門ファイルサーバー」のインフラ最新化
・ 「部門ファイルサーバー」が兼務してきた複数の機能を安全に分離すること
ソリューション
・ 新たに仮想化環境を構築し「部門ファイルサーバー」機能を安全に移行
・ 仮想化環境の中核にHPE Nimble Storageを採用しシステム全体の信頼性を向上
・ サーバーおよびストレージの主要コンポーネントを冗長化し単一障害点を解消
導入成果
・ HPE InfoSight予兆検知により高度な予防保守が可能に、システム全体の安定稼働に寄与
・ HPE Nimble Storageの圧縮機能によりデータ量を50%以下に削減
・ 今後長期にわたり安定運用可能で、次のシステム更改や移行も容易な環境を実現
・ 部門ファイルサーバーに統合されていたドメインコントローラーを安全に分離
企業紹介
トッパン・フォームズ株式会社
(本社:東京都港区 代表取締役社長:坂田 甲一)
ビジネスフォームやデータ・プリント・サービスなどの分野で培ってきた技術やノウハウをベースに、情報伝達を最適化
するソリューションを提供。印刷物と電子ドキュメントの融合や、RFID・ICなどの情報メディア、プリンテッド・エレクトロニクス技術を応用した製品開発など「情報」を核としたさまざまな事業を展開している。
http://www.toppan-f.co.jp
チャレンジ
加速するデジタルハイブリッド事業
ビジネスフォーム業界のリーディングカンパニーとして、企業の事務革新を支援するトッパンフォームズ。
同社は「デジタルハイブリッド事業」への取り組みを強化し、印刷の領域を超えた情報管理ソリューション企業として存在感を高めている。中でも「データ・プリント・サービス(DPS)」の伸長は目覚ましく、全社売上の1/4以上を占める主力事業にまで成長した。
IT統括本部システム技術部 第二グループ 主任の佐藤輝久氏は次のように話す。
「データ・プリント・サービス(DPS)は、顧客企業からデータを預かり、データ編集から印字、封入、発送までをトータルに提供するアウトソーシングサービスです。クレジットカードの利用明細書が典型的なもので、白紙上に定型フォーマットで個人ごとの明細を印字するのが特徴です」
2018年1月、IT統括本部は「部門ファイルサーバー」のインフラ環境を刷新した。DPSにおける個人宛通知物の仕様をはじめ、レイアウトや印刷に必要な書体などのリソースを管理するシステムだ。
「本システムでは、日中およそ400ユーザーが仕様データの作成や更新を行い、夜間はDPSで活用する印刷データの元情報を提供しています。24時間365日無停止で運用しているビジネスクリティカルな環境です。ハードウェア老朽化が直接的なきっかけですが、インフラ刷新を機に長年にわたる運用で顕在化してきた課題を一挙に解決しようと考えました。」(佐藤氏)
既存環境の課題を一挙に解決
DPSにおける重要な役割を担う「部門ファイルサーバー」には、どのような課題があったのか。佐藤氏は次のように話す。「従来の環境では、老朽化に伴うシステムの不調が問題になりつつありました。最悪の場合、お客様と約束した納期に影響を及ぼす可能性もあったのです。システムの安定稼働を支える信頼性・可用性の強化は、今回のインフラ刷新において最も重視したポイントです。これを実現するために、サーバーやストレージの徹底した冗長化を図り、何らかの問題が発生してもビジネスを止めない仕組みを整備しようと考えました」
これに加え、長年にわたる懸案があった。2009年から運用している「部門ファイルサーバー」が、ドメインコントローラーやウィルス対策ソフトの配信など複数の役割を兼務していたことである。
「サーバー機能を分離して『部門ファイルサーバー』に特化させることが、もうひとつの大きなテーマでした。難題は、本環境が24時間365日止められないシステムであることです。新しい環境への切り替えのチャンスは、基幹系システムがメンテナンスを行う2017年12月31日の深夜から翌朝までに限られていました」(佐藤氏)
これらトッパンフォームズの要件に応えたのが、アルファテック・ソリューションズである。
その提案のポイントは次の通りだ。
- ① 最新の高信頼ストレージを採用し仮想化環境全体の信頼性を向上
- ② ディスクやコントローラーの障害でも無停止で保守対応を可能に
- ③ サーバー環境は VMware HAにより可用性を確保
- ④ 限られた時間内にサーバー・ストレージ切り替えを行う安全な手順を確立
本プロジェクトをリードしたアルファテック・ソリューションズの黒澤博之は、「無停止でメンテナンス可能な高信頼ストレージを採用し、仮想化環境全体の信頼性を高めることが大きな狙いです。私たちの提案は最新の HPE Nimble Storageでした」と話す。
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トッパン・フォームズ株式会社
IT統括本部 システム技術部
第二グループ 主任
佐藤 輝久 氏
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アルファテック・ソリューションズ株式会社
第1エンタープライズ事業部
製品ソリューション部
営業グループ リーダ
黒澤 博之
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アルファテック・ソリューションズ株式会社
第1エンタープライズ事業部
製品ソリューション部
第1技術グループ
横尾 純平
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ソリューション
99.9999% 以上の稼働実績を誇るHPE Nimble Storage
アルファテック・ソリューションズが提案したHPE Nimble Storageは、高度な自律運用機能を備えた新世代ストレージとして急速に支持を拡大している。99.999928%という驚異的な稼働実績(年間停止時間約23秒)は他の追随を許さない。同社 製品ソリューション部の横尾純平は次のように話す。
「HPE Nimble Storageは、お客様の求める『無停止』という要件にまさに合致した製品でした。ディスク3本で同時に障害が発生しても業務影響がないトリプルパリティRAIDを備え、コントローラー障害時の交換やファームウェア更新も無停止で行えます。また、HPE Nimble Storage最大の特長は『HPE InfoSight』が問題の予兆を自動検知し、適切な対処法を示して、サービスに影響が及ぶ前に保守対応が可能なことです」
開発元のHPEでは、HPE InfoSightにより「ユーザーが問題を把握する前に、その86%を自動的に予測して解決できる」としている。HPE Nimble Storageは、ハードウェアレベルの高信頼性とHPE InfoSightを組み合わせることで、実際に99.999928%という稼働実績を達成している。
「ストレージが仮想化環境の信頼性を決めると言っても過言ではありません。HPE Nimble Storageを採用したことで、『部門ファイルサーバー』環境の安定稼動に対する安心感は大きく高まりました。また、パフォーマンスや容量の面でも、今後数年間利用し続けるために十分なリソースが確保できました」と佐藤氏は評価する。
採用された HPE Nimble Storage CS1000Hは HDDとSSDのハイブリッド構成。HPE Nimble Storageならではの優れたデータ圧縮機能を利用できる。本システムでは「既存環境から引き継いだデータ量を50%以下に削減できた」(佐藤氏)という。
システム構築を担当した横尾氏は、「構築・移行期間が限られていた中で、HPE Nimble Storageのセットアップの容易さが時間短縮に大きく寄与したと思います。アルファテック・ソリューションズのキッティングセンターでの作業は、他のストレージ製品の半分以下の時間で完了できました」と話す。
サーバー機能の分離を安全に実施
「システムの安定稼働を支える信頼性・可用性の強化」という最大の目標は達成され、もうひとつのテーマ「サーバー機能の分離」についても計画通りに完了した。これまでの経緯を含め、黒澤氏は次のように話す。 「2015年にアセスメントを実施し、段階的に機能を別の環境に移行させていきました。最後に残ったドメインコントローラー機能を移行したのは、2017年12月31日の深夜から早朝までの限られた時間です。多数のユーザーのアクセスを担う環境ですから、安全な移行手順を確立し、慎重を期して作業を進めました。さらに、年始の利用開始時には万一に備えて技術者が対処できる体制で臨みました」
ベネフィット
ハードウェアのコンパクト化により運用コストの低減にも貢献
アルファテック・ソリューションズのチームは、厳しい条件下で計画通り全ての作業を完了させた。プロジェクトを振り返って、佐藤氏は次のように語る。
「DPSの一翼を担う『部門ファイルサーバー』のインフラ刷新、ドメインコントローラー機能の切り離しという2つの要件を、トラブルなく完遂してもらえました。今回のプロジェクトを通して、アルファテック・ソリューションズの優れた提案力と技術力を改めて実感することができました。今後も継続的な支援を期待しています」
記載されている企業名や製品名は各社の商標または登録商標です。
記載事項は個別に明記された場合を除き2018年4月現在のものです。