SBI FinTech Solutions様 導入事例

急成長を遂げる決済サービスの仮想化基盤に HPE SimpliVity 380 を採用し、ビジネスの成長スピードに対応できるサービス基盤を実現

SBI FinTech Solutions が、新世代ハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品HPE SimpliVityを採用し、主力事業の1つである「決済サービス」のインフラを最新化した。オンラインビジネスが急成長を遂げ、同社への支持が高まる中、ビジネスの成長に合わせた柔軟な拡張と、無停止での更新が可能なサービス基盤を実現した。

SBI FinTech Solutions株式会社

本社:東京都渋谷区

決済サービス事業と国際送金事業を主軸にビジネスを展開。「総合FinTechソリューション企業」として、フィンテックを活用した革新的なサービス提供により成長戦略を加速させている。
お客様の課題
  • 24時間365日無停止運用が必須の「決済サービス」のインフラ最新化
  • 成長ビジネスを支え続ける柔軟かつ拡張の容易なサービス基盤の実現
  • TCO(Total Cost of Ownership/システムの総保有コスト)の削減
  • 独立した仮想化基盤ごとに暗黙知化された運用ノウハウの見える化・統一化
  • クレジット業界のグローバルセキュリティ基準PCI DSS 準拠の工数削減 
ソリューション
  • HPE SimpliVityにより複数の仮想化基盤を統合し、運用手順を標準化
  • インフラ機器を大幅にシンプルにすることで故障発生の可能性を低減
  • 首都圏(メイン)および関西圏(DR)でサイトを冗長化
導入の成果(第1フェーズ完了時点)
  • 優れた圧縮・重複排除効果により、データ量をおよそ50%削減
  • ストレージ性能を大幅に改善
  • 将来にわたりサービス無停止でのシステム拡張とアップグレードを可能とする新仮想化基盤を実現
  • ユーザーフレンドリーな運用マニュアルにより、システム運用品質を向上

成長する決済サービス

SBI FinTech Solutions は、決済サービス事業を手がけるゼウスやAXES Payment を子会社に持ち、インターネット草創期から20年以上にわたり様々な決済サービスを提供している業界のパイオニアである。EC・実店舗向けに幅広いサービスを取り揃え、クレジットカードをはじめとする多彩な決済手段をワンストップで導入できる同社のサービスは、EC 事業者を中心に1万を超える企業から支持されている。システム本部を率いる押手孝太氏は次のように説明する。

「私たちは、SBIグループ内の金融サービス事業において、『従来の金融機関と顧客ニーズとのギャップ領域に対し、革新的なフィンテック技術を用いて付加価値の高いサービスを提供する企業体』として戦略的に位置づけられています。成長を続ける決済サービスと国際送金サービスを主軸に、フィンテックを活用した安心・安全で利便性の高い新しいサービスをいち早く提供する『総合FinTechソリューション企業』として、お客様にとって快適なサービスとは何かを常に考えながら、社会に付加価値をもたらすビジネス展開を目指しています。」

SBI FinTech Solutions が手がける決済サービスは、年率およそ25%のペースで成長しているという。その背景には、スマートデバイスの普及とオンラインビジネスの多様化がある。

「物販やデジタルコンテンツ配信にとどまらない多様なサービスが、オンラインで提供されるようになりました。また、消費者にとってEC がより身近で簡単なものになったことで利用者が着実に増加しており、一人あたりの利用頻度も高くなっています。さらに最近では、ECと実店舗をシームレスに行き来し、新たなユーザー体験を主軸とするマーケティング戦略 OMO(Online Merge Offline)に注力する企業が増えてきていること等から、私たちの決済サービスのトランザクションは今後5年で3倍になる見通しです。これを支えるインフラの増強・最新化は不可欠でした」(押手氏)

2018年早春、SBI FinTech Solutionsは、アルファテック・ソリューションズをパートナーに選定し、インフラを大胆に見直すプロジェクトをスタートさせた。採用されたのは、新世代のハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品HPE SimpliVity 380 Gen10である。

新世代HCI製品HPE SimpliVityを採用

HPE SimpliVity 380 Gen10は、世界トップクラスのシェアを持つ新世代HCI 製品だ。日本でも急速に支持を拡大している。サーバーとストレージをシンプルかつコンパクトに統合するととも に、ハードウェアアクセラレーターによる超高速インライン圧縮・重複排除や超高速バックアップ等の独自機能が運用段階で大きなメリットを提供する。アルファテック・ソリューションズは、HPE SimpliVity の検証環境を自社に用意し、導入経験豊富なエンジニアチームを擁する「HPE SimpliVityフォーカスパートナー」に認定されている。

「私たちは、システムの現状と今後のあるべき理想像を比較・分析し、入念にインフラ最新化の基本方針を策定しました。最も重要な要件は、24時間365日無停止で決済サービスを支える高い信頼性・可用性を具備するシステムの実現です。また、ビジネス要求に応じて柔軟かつ迅速にリソース拡張を行えることはもちろん、インフラに関わる定常的な維持管理作業を軽減しシステム運用を容易にすること、いわゆるTCO 削減も大切な選定ポイントでした」とプロジェクトマネージャーのIT 戦略部 情報セキュリティ課 係長 小関明徳氏は話す。

決済サービスは、多数のバックエンドサービスを連携させ、複雑なセキュリティ上の手続きを経て実現される。また、PCI DSS の準拠も必須だ。従来のシステム環境は、複数の仮想マシンと物理 マシンで横断的に機能を連携させてこれらの要件を実現していたという。

「長年にわたる機能拡張や改修で複雑化・大規模化していたシステム環境を、HPE SimpliVityに統合するというアルファテック・ソリューションズの提案には非常に説得力がありました。インフラ機器をシンプル化し、トラブルの発生源を減らして信頼性を高めること。仮想レベルと物理レベルの両面で冗長化された高信頼のシステムを構築すること。オールフラッシュ構成により高いシステム性能を確保すること。高頻度でバックアップ取得できること。スピーディなDR 構築が可能なこと――これらすべてに合理性とメリットを感じました」(小関氏)

「さらに重要なのは、HPE SimpliVityによって『最新の状態で使い続けられるインフラ』を実現したことです」と押手氏は言う。
SBI FinTech Solutions株式会社
システム本部長
インフラサービス部長
押手 孝太 氏
SBI FinTech Solutions株式会社
システム本部 IT 戦略部
情報セキュリティ課
係長 小関 明徳 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
第1エンタープライズ事業部
製品ソリューション部
営業グループ
リーダ 黒澤 博之 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
第1エンタープライズ事業部
製品ソリューション部
第1技術グループ
豊田 武志 氏

最新の状態で使い続けられるインフラ

2018年盛夏、首都圏にあるメインサイトおよび関西圏にあるDRサイトにHPE SimpliVity 380 Gen10による新仮想化基盤が構築され、第1フェーズのシステム移行が計画通り完了した。押手氏の言う「最新の状態で使い続けられるインフラ」はどのように実現されたのか。アルファテック・ソリューションズのプロジェクトマネージャー 豊田武志氏は次のように説明する。

「従来の仮想化基盤運用では、無停止での増強対応・プログラム最新化が常に課題にあがります。一方、HPE SimpliVity はシステム無停止かつ容易に増設や入れ替えが可能です。コンピューティングリソースのみ増強したい場合は汎用のIAサーバーを組み込む事も可能で、柔軟な拡張性も持ち合わせています。また、各プログラムの無停止アップデートツールも準備されており、 新仮想化基盤の維持管理・拡張管理のシンプル化に大きく貢献することができます」

決済サービスのインフラでは現時点で数百台の仮想マシンが稼働しており、3年後にはおよそ1.5倍の規模になると予想されている。無停止でのリソース拡張と入れ替えが容易なHPE SimpliVity なら、増大するトランザクションに柔軟かつ迅速に対応することが可能だ。

「同じHCI による仮想化基盤でも、業務やサービスごとにサイロ化してしまっては意味がありません。私たちの提案のポイントは、HPE SimpliVity によって、サービス規模が拡大しても性能を維持しながら安定して使い続けることのできる統合仮想化基盤を実現することでした」と同社の黒澤博之氏は話す。



(プロジェクトフェーズと概要)
第1フェーズ:
・ HPE SimpliVityを用いた新仮想化基盤の設計・構築
・ 旧仮想化基盤内の優先度が高い仮想マシンを新仮想化基盤へ移行
第2フェーズ:
・ 旧仮想化基盤内の残りの仮想マシンと重要度の高い物理マシンを新仮想化基盤へ移行
・ VMware vRealize Operations 導入の設計・構築(仮想環境の運用管理ツール)
第3フェーズ:
・ HPE SimpliVity RapidDR 機能導入の設計・構築

統合仮想化基盤の理想形へ

「第1フェーズで構築した新仮想化基盤が本番稼働し、HPE SimpliVityのパフォーマンスが期待以上だったことは嬉しい驚きでした。特にオンライン決済処理のレスポンスで体感できるほどの改善が図られました。多数のサーバーマシンが単一の新仮想化基盤内で稼働して相互に通信できるため、外部接続のオーバーヘッドを解消していることに加え、オールSSDによるストレージ性能の改善も寄与しているものと分析しています」と押手氏は話す。

第2フェーズでは、旧仮想化基盤で稼働する残りの仮想マシンと重要度の高い物理マシンをすべて新仮想化基盤へ移行・統合する計画だ。統合した新仮想化基盤上で短時間に複数のサーバーマシンの構築が可能となり、PCI DSS 対応の工数削減にも寄与する。同時に進めている 仮想環境の運用管理ツール:VMware VRealize Operations の導入が完了すると、新仮想化基盤内の仮想マシンのリソース状況が可視化され、リソース割り当てとパフォーマンスチューニングの最適化はさらに進展するだろう。

「HPE SimpliVityの圧縮・重複排除機能により、第1フェーズ完了時点でデータ量を50% 程度まで削減することができました。決済システムは、万一のデジタルフォレンジック*調査に備え、大量の監査ログ出力が必要となります。圧縮効率が高いことは定常的なインフラ管理工数を削減できると共に、ストレージを有効利用でき、全体的なコスト削減が期待できます。この圧縮・重複排除機能はハードウェアアクセラレーターで処理されるため、本体のCPU に負荷をかけないこともHPE SimpliVity ならではのメリットと認識しています」と小関氏も評価する。

続く第3フェーズでは、「HPE SimpliVity RapidDR」*を活用して、関西圏にあるDRサイトのデータ保護とBCP(Business Continuity Plan /事業継続計画)をさらに強化していくという。

*デジタルフォレンジック:
不正アクセス、情報漏えいなどのセキュリティインシデントが発生した際に、コンピュータなどの電子機器に残る記録を収集・分析し、その法的な証拠性を明らかにする手段や技術の総称。
*HPE SimpliVity RapidDR:
ディザスタリカバリのプランニングと自動化をサポートする、オプションのソフトウェアツール


「HPE SimpliVityはシステム稼働中に高頻度でバックアップを取得できるため、トラブル発生時の復旧作業にかかる時間を大幅に短縮できる見込みです。また、限られたネットワーク帯域でも効率的に差分データを転送できる特長を活かして、DRサイトでの復旧オペレーションを自動化し、ワークロードを短時間で復元できるシステム環境を実現していきます」と小関氏は決意を示す。「アルファテック・ソリューションズは、HPE SimpliVityに精通しているだけでなく、インフラ全般に対して高い技術力があると実感しました。また、設計書や運用マニュアルが理解しやすいドキュメントとなっており、システム運用品質の向上が図れたため、大変満足しています」と小関氏は評価する。

最後に押手氏が次のように語って締めくくった。

「プロジェクトではネットワークの構成変更を含む仕様変更や難易度の高い課題が発生しましたが、両者で速やかに解決策や代替案の策定を行い、大きなトラブルもなく予定通りインフラの最新化と移行プロジェクトを完遂させることができました。これからも私たちのミッションクリティカルなサービス基盤の強化に協力してもらえることを期待しています」
記載されている企業名や製品名は各社の商標または登録商標です。
記載事項は個別に明記された場合を除き2018年11月現在のものです。
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