太陽ホールディングス株式会社様 導入事例

HPE SimpliVity を採用し、DRサイトへの10分以内のシステム切替によりBCP・災害対策を強化

太陽ホールディングスが「共通仮想化基盤」を構築し、太陽グループ各社が個別に構築・運用してきたシステムの統合を進めている。注目すべきは、東西データセンター間でのシステム切替を「10分以内」で可能にしていることだ。インフラおよびDRの設計・構築をトータルにサポートしたのは、三菱ケミカルシステム(MCSY)とアルファテック・ソリューションズ(ATS)の連合チーム。新世代ハイパーコンバージドインフラHPE SimpliVityが、太陽グループの成長戦略と事業継続を支えている。

太陽ホールディングス株式会社

本社:東京都豊島区

太陽グループを統括する持株会社。傘下の太陽インキ製造は、プリント配線板に用いるソルダーレジストで世界トップクラスのシェアを持つ。総合化学メーカーへの飛躍を目指し医療・医薬品事業等にも力を入れている。

お客様の課題
  • シェアードサービス化を見据えた太陽グループ向け「共通仮想化基盤」の構築と既存システムの統合
  • 太陽グループの成長戦略を支える安定稼働、ビジネス継続性、変化への適応力を備えたインフラの実現
ソリューション
  • HPE SimpliVityによりグループ共通仮想化基盤を構築、東西データセンターでBCP・災害対策を強化
  • 東西データセンターの24/365の運用・監視・保守をMCSYのプロフェッショナルチームがサポート
  • MCSYとATSの緻密なアセスメントとサイジングによりリソースのムダのないインフラを実現
導入の成果
  • RAID/RAIN によるデータ保護、専用ハードウェアアクセラレーターによる超高速バックアップ/リストアが可能なHPE SimpliVityによりインフラ全体の信頼性を向上
  • HPE SimpliVity Rapid DRにより復旧プロセスを自動化し「10分以内」でのシステム切替を実現
  • HPE SimpliVityノード単位およびx86サーバーノード追加での増設をサービス無停止で可能に
  • 事業買収をはじめとする急激な変化に適応できる柔軟なインフラを実現

総合化学メーカーを目指し成長戦略を推進

エレクトロニクス製品向けプリント配線板に利用される「ソルダーレジスト」で、世界トップクラスのシェアを誇る太陽ホールディングスが、総合化学メーカーグループへの飛躍を視野に事業を拡大している。 情報システム部長を務める渡部健氏は次のように紹介する。

「エレクトロニクス業界向け化学品事業で着実な成長を目指すとともに、新たに医療・医薬品事業に注力するため2017年に太陽ファルマを設立しました。太陽グループの事業会社は、国内6社、海外11社の体制となり、現在は医薬品の製造体制の強化を積極的に進めています」

2018年、太陽ホールディングスは、太陽グループの成長戦略を支えるインフラ整備の一環として「共通仮想化基盤」を構築した。太陽インキ製造の製造・販売システムをはじめグループ各社のシステムを統合し、その機能をシェアードサービスとして提供する役割を担う。
プロジェクトをリードした情報システム部 企画管理課の北清康弘氏は、本システムの基本方針を以下のように説明する。
「ビジネスを止めないこと、これに尽きます。たとえば、生産販売管理システムはサプライチェーンの根幹を支える重要な基盤です。しかし、事業会社の拠点内で個別に構築されてきたシステム環境は、電源設備やセキュリティ面で満足できるものではありませんでした。私たちは、ファシリティの整ったデータセンターへの移設を前提に、24時間365日無停止で安定的に運用できるシステムの実現を目指しました」

折しも、北九州事業所では24時間操業による増産を検討していた。同事業所におけるフィルム製造は冷蔵工程を含む鮮度管理が重要で、システム不調が原因で製造プロセスが停滞するとフィルムの品質に重大な影響を及ぼす。
「ビジネスを止めないという方針の中で災害対策・BCP への対応も必須でした。当然、今後のビジネス成長に容易に対応できる拡張性も重要です」(渡部氏)

太陽ホールディングスが掲げた「共通仮想化基盤」の基本方針は以下の通りだ。

① 太陽グループの成長戦略を支える24時間365日の安定稼働
② 事業買収を含むビジネス拡大に追従する拡張性、変化への適応性
③ 東西データセンターによる迅速かつ確実なDRシステムの実現

これらの要件に応えたのは、三菱ケミカルシステム(MCSY)とアルファテック・ソリューションズ(ATS)の連合チームである。

太陽ホールディングス
情報システム部長
渡部 健 氏
太陽ホールディングス
情報システム部
企画管理課
北清 康弘 氏
三菱ケミカルシステム
ICTインフラ事業部
インフラサービス部
西川 亮 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
ハイブリッドITソリューション部
豊田 武志
アルファテック・ソリューションズ株式会社
ICTサポートサービス部
営業グループ
和泉 俊一

安定性、拡張性、DRの要求を満たすHPE SimpliVity

太陽ホールディングスの要求に応えるべくMCSYとATSは検討を重ねた。MCSY ICTインフラ事業部 インフラサービス部の西川亮氏は、連合チームの提案のポイントを次のように話す。「安定性、拡張性、DRの要件を満たしつつ、さらに短期間での構築が可能であることを考慮し、ハイパーコンバージドインフラ製品『HPE SimpliVity 380 Gen10』を提案の主軸に据えました。3Tier構成も検討しましたが、HPE SimpliVityの優位性は明らかでした」

HPE SimpliVity は、世界中で豊富な実績を持つ新世代HCI 製品であり、日本でも急速にシェアを拡大している。サーバーとストレージをシンプルかつコンパクトに統合可能なだけでなく、HPE SimpliVity ならではのユニークな機能を活用できる。ATSでHPE SimpliVityの認定技術資格をもつ豊田は次のように説明する。「HPE SimpliVityは独自のハードウェアアクセラレーターを搭載し、インライン圧縮+重複排除や『秒速』といわれる超高速バックアップなど、他のHCI 製品にないメリットをご提供できます。また、RAID(ディスク冗長化)とRAIN(ノード冗長化)を組み合わせ、最小2ノード構成で優れた耐障害性・可用性を確保できることも大きな優位性です」

HPE SimpliVity は、仮想と物理両面で冗長化された高信頼のシステムを実現する。インフラ機器がシンプル化されることで、トラブルの発生源が大幅に減ることにも注目すべきだろう。MCSYとATS は、太陽ホールディングスが求める「安定稼働」の要件に応えながら、更なるメリットを提供できると確信していた。北清氏は次のように振り返る。
「私たちがMCSYとATSの提案で特に注目したのは、『HPE SimpliVityのノード数を抑えながら、サーバーと組み合わせて最適なリソースを確保する構成』でした。私たちのシステム要件に最適なCPU/メモリ/ストレージ構成とすることで、インフラコストの上昇を抑えていたのです」

一般的なHCI 製品は筐体単位(CPU/メモリ/ストレージが一体化)の増設でシステムを拡張するが、ストレージリソースが過剰になりがちだ。これに対してHPE SimpliVityは、汎用的なx86サーバーをコンピュートノードとして追加することでCPU/メモリリソースだけを増強できる。「実は他社からもHPE SimpliVityの提案があったのですが、MCSYとATSの提案はコスト面で明らかに優位性がありました。HPE SimpliVity 導入の経験とノウハウの差を感じたところですね」(北清氏)

ATS は、開発元の日本ヒューレット・パッカードより「HPE SimpliVityフォーカスパートナー」に認定されている。HPE SimpliVityの検証環境を自社に用意し、導入経験の豊富なエンジニアチームが顧客企業をサポートしている。

10分以内にDRサイトの仮想マシンを復旧

MCSYは、太陽ホールディングスの共通仮想化基盤を収容するデータセンター(東京および九州)を提供した。そしてMCSYとATS は、もうひとつの要件である「DR 環境」の構築についてもHPE SimpliVity 独自の機能を活用して応えた。北清氏は次のように振り返る。
「データを遠隔地で保護するだけでなく、いかに迅速にサービス復旧できるかを重視しました。具体的には、メインサイトが何らかの理由で停止したとき、DRサイトでの『1日以内のサービス復旧』と『障害発生時点に極力近いデータへの復旧』を求めました」

この要件に応えるには、いくつかの課題をクリアしなければならない。DRサイトで仮想マシンイメージを最新の状態で保持できるかが大きなポイントだ。メインサイトでのバックアップ、DRサイトへの転送のスピードと頻度が問われる。ATSの豊田は次のように説明する。「ここでHPE SimpliVityの超高速バックアップの実力が発揮されます。ハードウェアアクセラレーターが、メインCPUの負荷を抑えながら高頻度でのバックアップを実現します。一日何回でも、日中の時間帯でも、バックアップの取得が可能です。さらに、圧縮・重複排除されたデータの差分をDRサイトへ転送するため、ネットワーク帯域が限られていても高頻度でリモートバックアップが可能です」

DRサイトでの「1日以内のサービス復旧」という要件についてはどう対応したのか。

「HPE SimpliVityがDRサイトで仮想マシン復旧に要する時間は10分以内です。『HPE SimpliVityRapidDR』を活用して復旧手順を自動化していますので、管理者によるクリック操作だけで、決められた手順での仮想マシン起動、IPアドレスの付け替えなどが自動実行されます」(ATS 豊田)

「九州データセンターにはMCSYの技術者が常駐し、東京側からオペレーションを引き継ぐ体制を整えてくれたことも大きな安心になっています」と北清氏は話す。

ビジネスの急成長に適応できる基盤へ

2018年6月にスタートした共通仮想化基盤構築プロジェクトは、9月末に構築を完了するというハイスピードで進行した。「データセンター選定、インフラ設計と構築、DRサイト構築と切替手順の確立までを4ヵ月で完了しました。HPE SimpliVity 以外の方法では実現は困難だったでしょう」と話すのは、ATSの和泉である。

「運用開始直後に企業買収が実施されましたが、必要なリソースを速やかに提供することができました。ビジネス環境の急激な変化に迅速に対応できたことが、経営層からも高く評価されています」と渡部氏は手応えを語る。

これに続き、太陽グループ共通システムや各社システムの統合が順次進められている。プロジェクトを振り返り北清氏が次のように話して締めくくった。

「共通仮想化基盤に対する当初の目標である、安定性、拡張性、DRという要件を高い水準で実現できたことに満足しています。HPE SimpliVityによるインフラだけでなく、東西データセンターと運用体制の整備までを含めたソリューションは、私たちにとってまさに価値の高いものでした。MCSYとATSのサポートとともに、共通仮想化基盤が太陽グループの成長に寄与してくれると確信しています」
記載されている企業名や製品名は各社の商標または登録商標です。
記載事項は個別に明記された場合を除き2019年6月現在のものです。
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