株式会社山善様

HPE SimpliVityを採用し、計1,100ユーザーのリモートワーク環境を整備
VDI環境のレスポンスを大幅に改善し、コロナ禍におけるリモートワーク拡大にも対応

2019年6月、株式会社山善が800ユーザー規模のVDI 環境を構築。2020年に入って新型コロナウイルス感染症のリスクが高まると、急遽300ユーザーを追加し計1,100ユーザーのリモートワーク環境を整備した。
同社がVDI 基盤に採用したのは、ハイパーコンバージドインフラ HPE SimpliVityである。

株式会社山善

大阪府大阪市西区立売堀2-3-16

工作機械、産業機器、機械工具、自動化ロボットなど、世界のモノづくりを支える「生産財」と、快適で便利な住まい・オフィス環境をつくる住宅設備機器や、暮らしを豊かに彩る生活用品などの「消費財」を取り扱う専門商社。 生産財と消費財の“ダブルウイング”により、国内外の景気や為替に左右されにくい安定的な経営を実現している。

お客様の課題
  • 営業部門を中心とする800ユーザーのリモートワークを支える高性能VDI環境の構築
  • BCP 対策(事業継続計画)の一環としてのVDI 環境の整備、コロナ禍におけるリモートワーク拡大への対応
ソリューション
  • HPE SimpliVityにより運用負荷のかからないオンプレミスVDI基盤を構築
  • 当初計画した800ユーザーに加え、急遽300ユーザー向けにVDI環境を提供
導入成果
  • VDI 環境のレスポンスを大幅に改善し、リモートワークにおける生産性の向上に寄与
  • DaaSからオンプレミスへのVDI移行によりサービス品質を向上させ、自由度の高い運用を可能に
  • HPE SimpliVity 標準機能の超高速バックアップ/リストアによりデータ保護を万全に
  • 東西データセンターを利用するBCP対策システムの構築準備を完了

「生産財」と「消費財」の専門商社として成長戦略を推進

山善は、工作機械、産業機器、機械工具、自動化ロボットなど、世界のモノづくりを支える「生産財」と、快適で便利な住まい・オフィス環境をつくる住宅設備機器や、暮らしを豊かに彩る生活用品などの「消費財」を取り扱う専門商社である。複数の軸足を持つバランスのとれた事業ポートフォリオが同社の大きな強みだ。山善 経営企画本部 情報システム部 副部長の小西保治氏は次のように紹介する。

「生産財と消費財の『ダブルウイング』が専門商社としての山善の特徴であり、ビジネスの最前線を支えているのは、各事業分野における山善のプロフェッショナルです。彼らが豊富な経験とノウハウを活かして活躍し、お客様の多様なニーズに迅速にお応えできる環境を整えることは、情報システム部門の重要な役割のひとつです」

山善では2013年にクラウドベースのVDI 環境(DaaS)を導入し、営業部門を中心にリモートワークを推進してきた。営業チームの機動力を高めながら、エンドポイントセキュリティを強化することが狙いだ。

「DaaS は短期導入が可能でシステム運用が不要というメリットがあり、想定通りの成果が得られたと考えています。しかし、数年間利用する中でいくつか課題も浮かび上がってきました。パフォーマンス不足によるレスポンスの悪化はその最たるもので、DaaS なので私たちの意思でシステムを増強できないジレンマも抱えていました」(小西氏)

同時期に、大規模災害など予期しない事態に直面してもビジネスを継続できる仕組みを整えることが経営課題として議論されていたという。基幹業務システムを中心とするBCP 対策の具現化である。

「私たちはVDI 環境の刷新を検討する過程で、VDI システムのBCP 対策を要件に加えました。たとえ基幹業務システムの稼働が継続できても、クライアント環境がマヒしてしまってはビジネスの継続は不可能だからです」(小西氏)

BCP 対策の要件が加わった山善のVDI 環境刷新プロジェクトに、ITパートナーとして選ばれたのはアルファテック・ソリューションズ(ATS)である。ATSの提案の中心には、ハイパーコンバージドインフラHPE SimpliVity が据えられた。

ATS ハイブリッドIT 事業部の黒澤は、「年商5,000億規模の山善様では、1日ビジネスが停止するだけで数十億円の売上ダメージが発生します。私たちは、万全のBCP 対策が施されたVDI環境を実現するためにHPE SimpliVityを選択しました」と話す。
株式会社山善
経営企画本部 情報システム部
副部長
小西 保治 氏
株式会社山善
経営企画本部 情報システム部
インフラ課 課長
薄井 大輔 氏
株式会社山善
経営企画本部 情報システム部
インフラ課
戸嶋 隆志 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
ハイブリッドIT事業部
第1営業グループ
サブマネージャ
黒澤 博之 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
ハイブリッドIT事業部
技術グループ
マネージャ
吉田 弥寿雄 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
ハイブリッドIT事業部
技術グループ
リーダ
河副 篤 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
ハイブリッドIT事業部
技術グループ
リーダ
横尾 純平 氏

DaaS からオンプレミスのHPE SimpliVity へ移行

パフォーマンス不足をはじめとするVDI 環境の課題解決、BCP 対策の具現化という要件に、HPE SimpliVity はどのように応えたのだろうか。小西氏は、選定の経緯を次のように話す。

「VDIのサービス品質を自分たちでコントロールできるようにしたい、というのがDaaSからオンプレミスVDI 基盤の自社運用に移行する強い動機です。しかし、システム運用が大きな負担になっては意味がありません。私たちは、ATS が実施してくれたデモを通じてHPE SimpliVity の運用が非常に容易であることを実感するとともに、『これなら行ける』という手応えを得ました」

リソース割り当てはWindows 10/Microsoft 365の利用を前提に慎重に設計された。CitrixVirtual Apps and Desktopsを採用する新しいVDI 環境では、ユーザーあたり2vCPU/8Gメモリが提供されている。

「適切なサイジングを行うことでパフォーマンス問題は確実に解決できます。HPE SimpliVity は、汎用的なx86サーバーをコンピュートノードとして組み合わせることができるため、リソースにムダのない機器構成が可能です」とATS ハイブリッドIT 事業部の吉田は話す。

CPU/メモリ/ストレージが一体化したHCIノード単位でしか増設できないHCI 製品では、CPU/メモリを基準にするとストレージ容量が過剰になることが多い。これに対してHPE SimpliVityは、ビジネス成長とともに変化するリソース要求に合わせて常に最適な構成で運用できる。

HPE SimpliVity ならではの高速バックアップとDR

VDI 環境のBCP 対策という要件には、HPE SimpliVityの強みである超高速バックアップ&リストア機能が活かされた。ATS ハイブリッドIT 事業部の河副は次のように話す。

「HPE SimpliVityの最大の売りは『秒速』と表現される超高速バックアップです。メタデータを利用したユニークな重複排除テクノロジーとハードウェアアクセラレーターを活用し、バックアップの劇的な高速化を実現します。本環境では、800ユーザー分のバックアップをわずか10分程度で行えます」

ATSの技術チームは、山善が利用するメインデータセンター内にHPE SimpliVityによる本番サービス用VDIシステムを構築するとともに、BCP 対策用のVDIシステムも準備した。

「本番サービス用のHPE SimpliVityで取得したバックアップを、BCP 対策用のHPE SimpliVityにコピーし、ネットワーク接続も含めて800ユーザー分のVDIサービスを安全に再起動する手順を確立しました。この構成では、メインサイトが被災した場合でも半日程度でサービス復旧が可能です」とATS ハイブリッドIT 事業部の横尾は自信を示す。

HPE SimpliVityでは、データ領域・システム領域を含めて仮想マシンを丸ごとバックアップ(イメージバックアップ)できるが、ここでも優れた重複排除・データ圧縮が威力を発揮する。

「800ユーザーの中でも所属部門ごとに利用するアプリケーションが異なります。この要求に応えるためにフルクローンによるVDI 展開を採用していますが、HPE SimpliVity が1/7程度までデータ量を削減してくれるおかげでストレージ容量を大幅に節約できています」と情報システム部インフラ課の戸嶋隆志氏は評価する。

仮に1ユーザーあたり50GBを割り当てると、800ユーザーでは40TBのストレージ容量が必要になるが、HPE SimpliVityによるVDI 環境ではこれが6TB 以内でまかなえる計算になる。

コロナ対策として急遽300ユーザーを追加

800ユーザーを対象に、HPE SimpliVityによるVDI 環境の本番運用を開始したのは2019年6月である。山善では東日本データセンターの準備を進めていたが、2020年に入って新型コロナウイルス感染症のリスクが高まると状況が一変した。情報システム部 インフラ課 課長の薄井大輔氏は次のように振り返る。

「コロナ禍への対応はまさにBCPの実践そのものでした。私たちは急遽、新たに300ユーザー分のVDI環境を整えました。事態が緊迫する中、大規模災害を見据えたBCP 対策のために準備したHPE SimpliVityをコロナ禍におけるBCP 対策用途へ振り替える決断をしたのです」

ATSの技術チームは迅速に対応し、実質作業としては1週間ほどでこの作業を完了させた。

「ハードウェアの転用は苦渋の決断でしたが、ビジネスを停滞させることなく難局を乗り切ることができたのは、HPE SimpliVityがノード追加で容易に拡張可能だったからこそ。ATS 様の迅速な対応にも感謝しています」と薄井氏は話す。

1,100ユーザー規模のVDI 環境を安定運用

1,100ユーザーが使うオンプレミスVDI 環境は、安定した性能で山善のビジネスを支え続けている。システム運用は山善自身が行っているが、何らかの問題が発生したときはATSの監視センターと連携して迅速に対応するフローが整えられた。難易度の高い課題でも、システムを熟知したATSの技術チームが山善と連携しながら解決に取り組む体制が構築されている。

「DaaSからオンプレミスVDI に移行したことで、レスポンスを大きく改善できただけでなく、新規ユーザー環境の準備もタイムリーに行えるようになりました。やはり『自分たちでコントロールできる』ことは非常に重要です。これもATS 様による運用保守の支援があってこそ、と言えるでしょう」と薄井氏は笑顔を見せる。

ATSは、開発元の日本ヒューレット・パッカードより「HPE SimpliVityフォーカスパートナー」に認定されている。HPE SimpliVityの検証環境を自社に用意し、導入経験の豊富な技術チームによる構築・運用支援・保守サービスは評価が高い。山善のVDIシステムでは、ファームアップデートを含めた万全のサポートを提供している。

「ユーザー数が増えたことで運用が変わることもなく、バックアップ時間が伸長しているようにも感じません。気づいた時には正しくバックアップが取得されているという感覚です」と戸嶋氏はHPE SimpliVityの高速バックアップを評価する。

プロジェクトを振り返って小西氏は次のように話した。

「コロナ対策というBCPを先行させる形になりましたが、技術検証は万全に完了しており、東日本データセンターの準備が整い次第、大規模災害を見据えたHPE SimpliVityのBCP 運用を始められます。本プロジェクトは、震災などの災害に限らず、いかなる事態に直面しても、IT 環境が迅速かつ柔軟に対応できることの重要性を改めて確認する機会になりました。ATS 様には、今後もITパートナーとして私たちのビジネスを支えてくれることを期待しています」
記載の社名・製品名などは各社の商標または登録商標です。
記載の内容は個別に明記された場合を除き2020年12月現在のものです。
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