都留市役所様
導入事例

Microsoft 365 による公用車管理を起点に
自治体業務のデジタル変革を推進

山梨県都留市が、自治体DX 推進の一環としてMicrosoft 365とAzureの試験運用を始めている。デジタル化による業務の生産性向上、在宅勤務/テレワークの本格的な導入を見据えた検証が進む。中でも、Microsoft 365とFormsを活用した「公用車管理」への取り組みは、スマートフォンとQRコードを組み合わせるアイディアがユニークだ。アルファテック・ソリューションズは、都留市の業務課題を紐解きながら、Microsoft 365上に短期間でアプリケーション開発を実現した。

山梨県都留市

山梨県都留市上谷一丁目1番1号

山梨県の東部に位置し、日本“新・花の百名山”に選ばれた三ツ峠山、二十六夜山など個性ある山々に囲まれた豊かな緑と、“平成の名水百選”に選ばれた清らかな水の溢れる自然環境に恵まれた城下町の面影を残す小都市。リニアモーターカー実験線の拠点基地があることで知られるとともに、人口3万人規模の都市では全国でも数少ない公立大学法人都留文科大学を擁し、全国各地から多くの学生が集い研鑚に励んでいる。

お客様の課題
  • デジタル化、自治体DXの推進を通じた業務改善・生産性向上
  • 在宅勤務/テレワークなど庁外での安全な業務の実現
ソリューション
  • Microsoft 365の知見を活かした業務フローのデジタル化

  • Microsoft Formsおよびノーコード/ローコードによる業務アプリケーションの短期開発・実装

導入成果
  • Microsoft 365とFormsを活用した「公用車管理」の実現
  • スマートフォンとQRコードを組み合わせた利用者の利便性向上
  • 貸出台帳管理のデジタル化/自動化を進め管理業務を効率化
  • 自治体業務全体のデジタル化とMicrosoft 365の本格導入に向けた検証

自治体DXの推進とテレワーク環境の整備

都留市は、山梨県東部の桂川沿いに市街地を形成する人口約30,000人の地方都市だ。首都圏からおよそ1.5時間、豊かな自然に恵まれた都留市は、時速500kmで走行するリニアモーターカーの見学センターで知られるが、都留文科大学、健康科学大学、山梨県立産業技術短期大学校を擁する文教都市でもある。
都留市 総務部企画課 課長補佐の秦和也氏は次のように話す。 「都留市民の9人に1人は20歳前後の大学生です。郊外型大学ならではのキャンパスライフに惹かれて多くの若者が集い、都留市は若い活気に溢れています。現在私たちは、小さな地方都市である都留市が将来にわたって魅力を高めながら、より良い市民サービスを提供し続けていくための市役所の変革に取り組んでいます」

秦氏は、自治体DX 推進監として都留市役所のデジタル変革をリードしている。デジタル化により庁内業務の生産性を向上させるとともに、在宅勤務/テレワークなど庁外でも安全に業務を行える環境を整備することが目の前のミッションである。
「2021年4月に、コロナ対策と働き方改革の具体策としてテレワーク環境を整備すべくMicrosoft365とAzureの試験運用に着手しました。この一環として、アナログな部分が残った庁内業務の手続きをMicrosoft 365を活用してデジタル化できないかと考えました」(秦氏)

「公用車管理業務のデジタル化」を起案したのは、総務部企画課 情報政策担当の野﨑健三氏を中心に若手メンバーで構成されたICTワーキンググループだった。
「私自身の経験を振り返って、公用車の利用手続きの複雑さを改善できないかと考えたのです。私たちは、担当部門である財務課のメンバーと意見を交換しながら、デジタル化された業務フローのイメージを描いていきました」と野﨑氏は話す。

本プロジェクトを支援したのは、アルファテック・ソリューションズ(ATS)である。同社のエンジニアチームは、野﨑氏らとともに従来の業務手順の課題を洗い出しながら、利用者の利便性と管理者の業務効率を同時に向上させるアイディアを具現化していった。
都留市役所
総務部企画課
課長補佐・自治体DX推進監
秦 和也 氏
都留市役所
総務部企画課
情報政策担当
野崎 健三 氏
アルファテック・ソリューションズ株式会社
社会公共サービス事業部
自治体サービス部
技術グループ
内山 創一朗
アルファテック・ソリューションズ株式会社
社会公共サービス事業部
自治体サービス部
営業グループ
牧村 高雅

スマートフォンとQRコードを利用報告に活用

都留市役所の「公用車管理」は、デジタルとアナログが混在する複雑なものだった。管理実務を担当する財務課では、利用者が「紙ベースの貸出台帳」に書き込んだ内容を「Excelの貸出台帳」に手入力しており、これを車両の貸出・返却ごとに繰り返さなければならなかった。
「一方、利用者はグループウェアで公用車の利用を予約し、財務課に出向いて必要事項を台帳に手書きしてから車両のキー/ETCカードを受け取ります。車両の利用が終わって財務課にキーを返却する際には、利用報告として台帳に手書きする必要がありました。走行距離も報告対象なのですが、メモしておかないとうっかり忘れてしまいます」と野﨑氏は振り返る。

プロジェクトを支援したATS の内山創一朗氏は、「目指したのはスマートな公用車管理」と話しつつ次のように続けた。
「アナログの手順をデジタルで置き換えるだけでなく、利用者と管理者の目線で徹底的に手間とムダを排除しようと考えました。さらに、業務フローが自動的に流れる仕組みを設計して、これをMicrosoft 365上に実装することを提案しました。私たちが着目したのは、Microsoft Forms によるアプリケーション実装とPower Platformによるノーコード/ローコード開発です」

Microsoft Forms は、アンケートフォームを作成して対象者に案内し、スマートフォンから回答を得るような使い方がよく知られている。公用車管理への応用について内山氏は次のように説明する。
「Microsoft 365を使った新しいフローでは、利用者は財務課でキーを受け取って、車両の利用が終わった時点で『スマートフォンから利用報告フォームに入力』してキーを返却するだけです。 この報告フォームをFormsで作成し、車両のキーに貼りつけたQRコードをスマートフォンで読ませてアクセスできるようにしました。利用者が入力したデータは、Microsoft 365の連携機能によりFormsからOneDrive 上のExcelに自動転記する仕組みも整えています」
さらに、「OneDrive 上のExcel」から財務課の担当者が管理する「Excelの貸出台帳」への転記も、ワンクリックで実行できるよう工夫された。

「QRコードから利用報告フォームにアクセスするアイディアが良かったですね。利用者は、車両から降りる前にスマートフォンから報告手続きを行えるようになりました。2度あった台帳への 手書きも、走行距離などをメモ書きしておく必要もありません」(野﨑氏)

Power Platform によるノーコード/ローコード開発

新しい「公用車管理」を実現するための総務部企画課と財務部、ATSによる機能要件の擦り合わせは5回以上に及んだが、要件が決まると開発は早かった。内山氏は次のように振り返る。
「プロトタイプ開発に1週間、その後の本番開発・テストを経て完成まで4週間かかりませんでした。このスピード感こそが、クラウドテクノロジーを活用する大きなメリットです」

都留市役所の「公用車管理」はMicrosoft 365とFormsの標準機能で実装されたが、Microsoft 365に付属するPower Platform(Power Apps/Power Automate)を使いこなせば、ノーコード/ローコードでの業務アプリケーション開発や定型業務の自動化が可能だ。
「Power Platformでは、プログラミングなどの専門知識がなくてもアプリケーションを開発できます。そして、それを誰でもメンテナンスできることが重要です。Excelのマクロが作り込まれた 環境などで起こりがちな属人化問題を回避できます」(内山氏)

秦氏、野﨑氏らは、Microsoft 365の新しい適用分野のリストアップを進めている。
「Forms は市民を対象にしたアンケート・調査などにすぐに活用できそうです。また、ノーコード/ローコード開発に関しても、アナログな手順が残っている庁内業務のデジタル化に適用できないか可能性を探っています。市職員の在宅勤務/テレワーク環境の本格導入も、いよいよ視野に入ってきました」(秦氏)

Microsoft 365の全庁導入に向けた検証

「公用車管理」のデジタル化で手応えを得た秦氏、野﨑氏らは、都留市役所における Microsoft 365 の全庁導入に向けて動き出した。
「ネットワーク強靭化モデルの最新化と歩調を合わせて、庁外で安全に情報を扱える在宅勤務/テレワーク環境の整備を進めていきます。Microsoft 365を全庁で利用するための検証にも着手しました。グループウェアやオンライン会議もここに統合し、市役所業務に不可欠な稟議・決裁のフローを安全にオンライン化する方法も検討しています」(秦氏)
グループウェアがMicrosoft 365に統合されると、Power Platformで開発したアプリケーションや自動化手順との連携も容易になる。

「都留市様の各部門が抱えている業務課題の解決や、手順の合理化、生産性の向上を実現できるデジタル活用を積極的にご提案していきたいと考えています。ノーコード/ローコードでのカスタムアプリケーションの開発が大きなポイントになると考えています」とATSの牧村高雅氏は話す。

秦氏は、「都留市のような地方都市がデジタル変革に取り組んでいく上では、ICTパートナーの存在が非常に重要」と話しつつ次のように結んだ。 「私たちが自治体DXで何を目指しているのか、デジタル化によって何を実現したいのか―ATSが私たちの課題や目標にしっかりと向き合って、スピード感をもって、実効性の高い提案をしてくれたことに感謝しています。ATS には、これからも都留市のDX 推進のパートナーとして、適切なアドバイスと付加価値の高い提案を期待しています」
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